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第4回IOC世界女性スポーツ会議報告書 anchor.png

2008年3月8-10日

ヨルダン・死海

NPO法人ジュース(JWS)

報告者 小笠原悦子

執筆協力 佐藤 馨

(1)第4回IOC世界女性スポーツ会議・ワークショップ

主催:ヨルダンオリンピック委員会 日程:2008年3月7-8日: 場所:Kempinski Hotel Ishtar Dead Sea(ヨルダン・死海)

ヨルダンオリンピック委員会(JOC)が主催するワークショップがIOCの世界女性スポーツ会議直前に、以下に示す4つのモジュール(テーマ)に別れて行われた。開催の連絡および事前準備が十分ではなかったことから、参加者は各ワークショックとも10名程度とかなり少ない人数であった。それぞれ2時間単位で講師が2回繰り返す方法で開催したため、参加者は最大2つのワークショックに参加することができた。

第1モジュール:女性スポーツの戦略的計画 講師:Mr. Jon Tibbs(Jon Tibbs Associatesの設立者・代表、2016年東京五輪招致のコンサルタント) 第2モジュール:リーダーシップ 講師:Ms. Donna De Vorana(IOC女性スポーツ委員会委員、競泳の五輪金メダリスト) 第3モジュール:公的機関や私的機関としてのパートナーの惹きつけ方 講師:Ms. Mary V. Harvey (元FIFA開発部ディレクター、サッカーの五輪金メダリスト) 第4モジュール:メディアとの付き合い方 講師:Ms. Lindsay Williams(フリーランス、元BBCに勤務し豊富なメディ経験からメディア・コーチとして活躍する専門家)

   (2)5大陸別ミーティング 日程:2008年3月8日 午後14:30-16:30  場所:コンベンションセンター(Petra2)

 恒例であるが、世界会議開幕前に大陸別のミーティングが行われた。 アジア大陸のミーティングでは、アジアオリンピック評議会(OCA)女性スポーツ委員会委員長が欠席だったために、IOC女性スポーツ委員会委員のMrs. Shengrong Lu(中国)、Ms. Beng Choo Low(マレーシ)、そしてシリアオリンピック委員会専務理事でOCA女性スポーツ委員会委員のMs. Nour El-Houda Karfoul(シリア)の3名がリーダーシップを執り運営された。 IOCからの具体的な話し合いの内容の指示がなかったために、自由な論議となった。 話し合いの論点は2つあった。一つは西アジアを中心としてイスラム圏の女性のスポーツ競技大会への参加に対する各スポーツ連盟の服装の規定についての要望(イスラムの女性の服装、特に髪を覆うためのスカーフを着用の許可)とその習慣への理解であった。もう一つは、オリンピック大会に女性のボクシング選手を参加させるための理解と協力を求める意見であった。 このミーティングの最後に、IOC会長のジャック・ロゲ氏が現れ、参加者と直接語り合う場が設けられた。ここでも同上の内容をロゲ会長に質問したボクシング連盟の人に対してロゲ会長は、スキージャンプの例を挙げ、参加者の底辺(スポーツ人口)が充実していない段階でオリンピック種目に採用することに伴うリスクを強調した。すなわち、オリンピック種目に採用された途端に、国によっては心技体ともに未熟な選手が参加することが予想され、それによって弊害を招くような事態が考えられるという理由である。このリスクは、ボクシングでも同様で、経験の浅い選手が強靭なボクサーとの競技によって怪我に止まらず、死に至る恐れがある種目であるという判断との説明であった。 毎回参加して思うのであるが、4年に1度の貴重な場であるので、参加者がただ単に大陸別に集まる場を与えるのではなく、IOCがもっと用意周到に準備を行い、大陸別のミーティングを他の大陸別ミーティングと統合させて、最終的な結論に導くような仕掛けをすべきであると考える。     第4回IOC世界女性スポーツ会議 2008年3月8日~10日 ヨルダン・死海(King Hussein Bin Talalコンベンションセンター)

第1日目<3月8日(土)> 午前9:00-午後17:00 大陸別ミーティング(各2時間ずつ) (別紙報告p.3)

午後17:30-19:00 開会式 <式次第>  (1)ヨルダンオリンピック委員会会長(HRH Prince Feisal bin Al Hussein)挨拶 (2)IOC女性スポーツ委員会委員長(Ms. Anita DeFrantz)挨拶 (3)IOC会長(Dr. Jacque Rogge)挨拶 (4)2008年IOC女性スポーツ賞(トロフィー)授賞式 <受賞者> *ワールドトロフィー:Datuk Seri Azalina Othman Said(マレーシア) *アフリカ: Ana Paula Dos Santos (アンゴラ) *アメリカ: Abby Hoffman (カナダ) *アジア: Lingwei Li (中国) *ヨーロッパ: Stefka Kostadinova (ブルガリア) *オセアニア: Debbie Watson (オーストラリア)  開会式のMs. Anita DeFrantzの挨拶で印象的であった内容を要約したい。 「2008年の北京五輪で女性の参加が45%となる。もうIOCが女性のために何をするかが問題ではなく、女性がIOCやスポーツ界全体に対して何ができるのかが問題なのである。もっと責任を受け入れ、スポーツ参加の機会を追及する女性が必要であり、そのスポーツの機会を増やすためにメンター(助言者)として行動する女性(男性も)がもっと必要である。」 開会式後(19:45-22:00)には、カクテルパーティーに引き続き、参加者全員(116カ国600名)にフルコースのディナーが振舞われた。また、その夕食では、オリンピックの開会式を連想するような豪華な演技が披露された。また、女性のバイオリン演奏者がディナーテーブルに駆け上がり、演奏する様子はイスラムの国(ヨルダン)で行われていることを忘れるような奇抜な内容であった。

第2日目<3月9日(日)> 全体会(1)午前9:00-10:30 テーマ:「社会変革の伝達手段としてのスポーツ」 <司会:Ms. Anita DeFrantz(IOC女性スポーツ委員会委員長)>

*スピーカー① Dr. Jacque Rogge(IOC会長) テーマ:「女性とオリンピック・ムーブメント」  ロゲ会長は、女性の役割をスポーツへの愛情を子どもたちに与える母親の役割として例え、その重要性を強調した。また、IOC女性スポーツ委員会の果たすIOC及びオリンピック・ムーブメントに果たす役割への期待を述べた。

*スピーカー② Ms. Anita DeFrantz(IOC女性スポーツ委員会委員長) テーマ:「行動要請:女性はスポーツにおける社会変革の伝達手段である」  Ms. DeFrantzは、スポーツ組織の意思決定機関における女性の比率(20%)の話題に触れ、NOCは43%がこれ以上に達し、IFでは50%がこれ以上に達していると報告した。また、2008年の選挙が近づいていることを強調した。そして、女性がその選挙で選ばれるにはどんな期待感(必須事項)が存在し、それを満たしているのかどうか、それぞれのポジションに選ばれるために何を満たせばよいのか、選ばれる能力はあるのか、もしないならばその条件を満たしている者が選ばれるように援助することなど詳細な行動を呼びかけた。また、オリンピアンのスポーツ界で果たす役割の重要性にも触れた。スポーツが我々に与えてくれたものは何であり、我々がスポーツへ何を返したらいいかを忘れるべきではないとも述べた。

*スピーカー③ Ms. Bience Gawanas(アフリカ連合福祉コミッショナー) テーマ:「開発と統合におけるスポーツの重要な役割」  スポーツが紛争の軽減、教育の促進、平和構築、経済開発や統合の養成ということへの挑戦に立ち向かうために利用できることを理路整然と述べられた。また、アフリカ連合(AU)社会問題(Social Affairs)局の中でスポーツプログラムが扱われることが偶然ではなく、(国連が2005年を国際体育スポーツ年としてスポーツの果たす役割の重要性を気づかせることを決定した)2003年以来、スポーツの果たす社会的な役割を強調し、またあらゆる組織や人々が協働する必要があり、単独行動では成し遂げることができないと述べた。すなわち、民主的協力、アイデンティティの促進、コミュニティーの連携を含めたスポーツの様々な価値を合体させることによって、良くデザインされたスポーツは、パワフルで、実践的で、経済的効果の高い方法になりうるとも付け加えた。ただ、このスポーツの果たす社会的な役割の明確な認識が欠如していることを認めざるを得ず、その解決のためには国際的な基金等との同意を得ることが必要なことも提言した。 *スピーカー④ Brigadier General HRH Princess Aisha bint Al Hussein(ヨルダン皇女・ヨルダン陸軍女性本部ディレクター)  参加者への歓迎の挨拶が行われた。

分科会A:スポーツとビジネス:より大きな女性の参加をターゲットにする モデレーター: Ms. Donna De Vorona

*スピーカー① Ms. Claire Chehab (国際陸上連盟女性スポーツ委員会委員長) テーマ:「陸上を通じたエンパワーメント」 スポーツビジネスの発展が女性の陸上の発展にも大きく影響し、現在では女性がスポーツビジネスの一部として大きな役割を果たしていることを述べた。とくにIAAFのテクニカルオフィシャルのためのコース、そしてIAAFメンバー組織(各国の陸上連盟)の管理者のためのセミナー、スポーツ医学のセミナーなど、世界的、地域別のネットワークをIAAFが構築してくれていることに謝辞を述べた。陸上でも女性が大金を稼ぐ時代が来た。まだまだ乗り越えなければならない障害は存在しているが、陸上界では良い方向に向かっているというポジティブなコメントであった。

*スピーカー② Ms. Mary Harvey(元FIFA開発ディレクター) テーマ:「レガシーを継続させるための女子サッカーの努力」  FIFAの女子サッカーに対するこれまでの取組みは、良質なゲームや大会の提供によってサッカーに対する理解だけなく、FIFAの理念に対する理解も得られるよう努めてきた。しかしながら、現在はFIFA主導の運営ではなく、各国サッカー組織主体の運営に移行するよう促している。それは国によってスポーツ開発の状況が異なり、各国でその手法や必要性が違ってくるからである。  女子サッカー大会を開催するため、FIFAはこれまでと違ったアプローチに取組んでいる。それは、先述した各国サッカー組織への運営の移行、大会運営への各国政府参与の推進、財政支援といった周辺的支援に切替えることである。それを実現するため2011年のドイツ大会では、以下のことを目標にしている。1)小学校での女子サッカープログラムの推進、2)女子と女性の選手数を2倍にする、3)フルタイム雇用の女性コーチング・ディレクターの設置、4)あらゆるレベルの選手やコーチの養成である。これはサッカーを通じてよりよい未来の構築(スポーツ開発)を意味している。

*スピーカー③ Ms. Dagmawit Girmay (エチオピアオリンピック委員会会長)  テーマ:「スポーツにおいて女性を確保し維持させる規則と管理」  女性のスポーツを推進するためには、各国スポーツ組織の役割が重要であり、その役割はリーダーシップ、マーケティング、スポーツ産業、哲学・倫理、財政、プロスポーツ、大会運営、メディアとの関係等多岐にわたる。また、その組織における女性の雇用と確保も重要になる。 エチオピアのスポーツの現状は、女性選手の割合は12.5%(2005年)、女性役員の割合は5.7%(2005年)であり、今後も女性のスポーツ参加・参与に向けて継続的な取組みが必要になるであろう。

分科会B:スポーツ・スポンサーシップにおいて考慮すべきこと モデレーター: Mr. Beatrice Allen

*スピーカー① Mr. Andre Gorgemans (元世界スポーツ用品工業連盟(WFSFGI)事務局長) テーマ:「ジェンダーと服装とスポンサーシップ」  世界のスポーツ用品メーカー(NIKE、addidas、Puma、PPRグループ、The Amer グループ、new balance、asics、Mizuno)のそれぞれの売り上げと収益の年次推移について詳細に述べ、大きな企業がどんどんと巨大化し、小さなところが吸収合併されている傾向があり、企業はROI(Return of Investment:出資に対する見返り)をどれだけ得られるのかを考えているという。  女性のスポーツ参加を促進することで、スポーツ用品産業もともに利益を得られるので、ムスリムの女性のスポーツの服装の開発などが進められている様子を紹介した。また、スポーツ参加を増やすには社会問題も解決していかなければ進まない。そこで、女性を取り巻く環境整備を進めることもスポーツ産業にとっても大変重要であると述べた。

*スピーカー② Mr. Robert Milroy(国際バドミントン選手協会会長) テーマ:「未来を教える:スポーツにおける平等な賞金のための戦い」  Mr. Milroyの大変印象的な言葉は、「子どもたちに過去を教えるのではなく、未来を教える必要がある」ということであった。彼はこれまで25年続いてきたジェンダー不平等ともいえる男女別の賞金制度を男女同額の賞金制度に変更することに成功した功績をかわれてスピーカーに選ばれた。スピーチではアマチュアスポーツとプロフェッショナルスポーツを対比し、アマチュアスポーツは規則に従って意思決定するが、プロスポーツはファイナンスに基づいて意思決定をする。ただ共通点は若い少女たちの参加に対してはどちらとも投資するという。男女同額の賞金制度を実現した彼への貢献に対して会場からも賛辞が述べられた。また、彼のような存在が我々のスポーツ組織にも必要だなどとの意見が相次いだ。

*スピーカー③ Ms. Juliana Karanteng SportBusiness Group:国際ジャーナリスト、メディアコンサルタント) テーマ:「スポーツの経済学:女性のスポーツ参与機会の増加」

Ms. Karantengは様々な専門家たちの言葉を引用し、女性スポーツが急成長を遂げつつあるビジネスの分野であることを強調した。また、印象的な広告キャンペーン(NIKEの2007年のFIFA Women’s World Cup)の言葉を用い「女の子のことじゃない。男の子のことじゃない。スキル(技)のことだ。」と、もうジェンダーの違いでスポーツを語ってはいないことも表現した。また、女性には比較的新しい分野としてのボクシング、モータースポーツなどの女性選手の言葉を用いて、この分野における女性の活躍の可能性を示唆した。

まだ新しいスポーツ・スポンサーシップの機会が存在すること、益々増加する男女同 額賞金の状況の実例を紹介した。また、それらの新たなスポンサーと取り組むためのポイントも紹介し、「あなたのゴールへ到達するのを止めるのはあなただけである。」というジャッキー・ジョイナー・カーシーの言葉でスピーチを締めくくった。選手や専門家の言葉の引用によるスピーチ構成で大変興味深いプレゼンテーションであった。

分科会C:女性の参加がスポーツに及ぼす利点 モデレーター: Dr. Elizabeth Ferris

*スピーカー① Dr. Doris R. Corbet (Haward大学、教授、健康・人間パフォーマンス・         レジャー研究学科長) テーマ:「スポーツ、ジェンダー、民族性: 包括と排除」 スポーツとジェンダー、スポーツと民族性の関係はどのようなものであり、スポーツは伝統的なジェンダーやイスラム社会といった民族性を変えることができるか。ジェンダーは男らしさや女らしさといった社会における考え方であり、民族性は文化的、伝統的、歴史的基盤に基づいた人々をカテゴリー化するためのものである。 女性のスポーツにおける中東と西欧諸国との一体化をはかり、主張する戦略として以下のことが重要である。まず女性の自由の欠如としてベールの解釈が不利に働くことを避け、多様な状況や服装だけに注目してイスラム女性をないがしろにしないこと。その上で女性アスリート、コーチ、役員の増加を提唱し、メディアや女性スポーツの機会を制限する政策や慣習に反対すること。また、スポーツに従事する女性への支援体制を整え、スポーツは基本的に女性の精神的・身体的健康を維持するものであることに気づかせることが必要だと述べられた。

*スピーカー② Ms. Tine Rindum-Teilman (IPC女性スポーツ委員会委員長) テーマ:「スポーツを通じた身体障害を持つ少女・女性の統合とエンパワーメント」 IPCのビジョンとして、あらゆるスポーツにおいて障害をもつ選手および女子選手に対して参加する機会を与えることが挙げられている。Maha Barghouthi選手(パラリンピック2000年シドニー大会卓球金メダリスト)の存在によって、ヨルダン政府はパラリンピックや障害者の大会に注目するようになり、また彼女の活躍でメディアの扱いが増え、障害者に対する社会の対応が変化した。彼女は、2003年最優秀ヨルダン選手賞を受賞し、2001年ベスト・アラブ人選手に選ばれた。現在は、様々なスポーツ組織役員を経て2004年から国際アスリート協会の役員をしている。彼女は「自分の能力に確信を持つことが大切で、それがなければ他人を信じさせることはできない」と述べた。 IPC女性スポーツ委員会は2006年~2009年までの取組みとして、パラリンピック・ムーブメントの中で男女平等への理解や気づきを増やしていくこと、リーダーシップを育成することを掲げた。 IPCの今後の挑戦は、障害をもつ女性選手が「社会との接点を持つ」「ライフ・スキルの獲得」「社会経験の獲得(スポーツに参加すること)」を掲げている。“Spirit in Motion”それはすなわち、障害のあるなしに関わらずスポーツにかかわることである。

分科会D:コミュニティーレベルでのアクセスの平等を推進する モデレーター: Mr. Ivan Dibos

*スピーカー① Ms. Kathryn Forrest(IOCオリンピックソリダリティ・プロジェクトメンバー) テーマ:「女性のためのオリンピック・ソリダリティー・プログラム:開発と結果」   IOCの新しいスタッフであるMs. Forrestからは、オリンピック・ソリダリティー(OS)プログラムのミッション、構成と戦略という概略が説明された。その後、詳細な女性(選手、コーチ、マネジャー)へのプログラムの内容の説明が行われた。2005-2008年期におけるマネジメントプログラムに参加した25%が女性であり、独自で開催しているオセアニア地区を除く全地域で開催されたことが報告された。また、1997年にIOCは女性スポーツ委員会(当時は女性スポーツワーキンググループ)と協力し、女性に特化したプログラムを開始したが、これまでに21の地域または大陸別のセミナーを実施し、3回の世界会議を開催してきた。OSプログラムはNOCが直接IOCに申請するものであるため、セミナー、気づきのキャンペーン、研究、出版、学校プログラム等の企画を提案し、女性スポーツの振興に役立てて欲しいということであった。

*スピーカー② Ms. Helem Brownlee(オーストラリアオリンピック委員会理事) テーマ:「ケーススタディ(オーストラリアオリンピック委員会)」  1996年にIOCのイニシアティブで始まった女性スポーツ推進のムーブメントを確実に成し遂げているオーストラリアオリンピック委員会の活動報告であった。1992年のバルセロナ五輪当時33%であった女性選手の参加率は2004年には43%に増加し、女性のメダル獲得数も19%から37.5%に増加したことが報告された。また、現在のAOCの女性の理事は3名(21%)で、所属するスポーツ組織の女性役員の比率の平均は25%であり、これは2006年から2年間で3.9%も増加した。  どのようにして、この女性のリーダーシップポジションの増加を成し遂げたかであるが、オーストラリアにはAOCのアスリート委員会規則(委員は男女同数の規定あり)以外には規律で決められた男女平等のルールはないが、男女公平(Gender Equity)に対するコミットメントを行うというオーストラリア政府(Australian Sport Commission)との強い連携が行われている。予算を男女の競技選手の比率で配分したり、女性のリーダーシップ養成のワークショップをビジネス界で活躍するビジネスウーマンと連携して行うなど画期的ともいえる取り組みを実施してきた。また、2000年シドニー五輪で実際にマネジメント分野で活躍した女性を役員やリーダーとして採用したことなども大きいという。具体的で大変興味深いプレゼンテーションであった。

*スピーカー③ Ms. Aminatoh Forana(アイボリーコーストオリンピック委員会   女性スポーツ委員会委員長) テーマ:「ケーススタディ(アイボリーコーストオリンピック委員会)」   Ivory Coastのオリンピック委員会会長がIOC女性スポーツ委員会メンバーであり、彼 の後ろ盾が大きかったと思われるが、女性がスポーツを行う習慣のなかった地域に、女性 スポーツ組織を立ち上げ、移動のコストを軽減するために体操のキャラバンを走らせるな どのプロモーション活動を行なった例などが紹介された。

全体会(2)午後16:00-17:30 「ミレニアム開発目標の挑戦に出会う:女性と少女の貢献」 <モデレーター: Ms. Anita DeFrantz(IOC女性スポーツ委員長)

*パネリスト① Ms. Nawal El Moutawakel(モロッコスポーツ青少年大臣・IOC委員) *パネリスト② Ms. Joyce Yu(UNボランティア・エグゼクティブ・コーディネーター) *パネリスト③ Ms. Iris Semini(UNAIDS戦略情報リージョナル・プログラム・アドバイザー) *パネリスト④ Ms. Elynah Sifuna(ケニア女性スポーツ連盟メンバー)

アラブ、そしてイスラムの女性として初めて金メダルを獲得したことで有名な、現在2回目のモロッコのスポーツ青少年大臣を務めているMs. Nawal El Moutawakelのスピーチは人を惹きつける魅力のある話し方であった。益々彼女のスピーチ力がアップしていた気がした。特に、スポーツが人権問題を解決する道具として、大変大きなパワーになることを強調する内容には説得力があった。まさにスポーツ界のロールモデルに相応しい抜群のスピーカーであった。彼女は現在のIOC委員の中で今後のリーダーシップを執るに最も相応しい人物の1人のように思えた。 国連の2015年までに到達すべき8つの「ミレニアム開発目標(MDGs)」(AIDSや女性のエンパワーメントなどを含む目標)は、女性と少女の人権問題を解決することがキーであり、その手段としてスポーツの果たす役割が大きなことが確認された。特に、ボランティアとしてスポーツ選手の果たす役割の大きなことが国連関係者のスピーチでは強調された。

第3日目<3月10日(月)> 全体会(3)午前9:00-10:30 テーマ:「リーダーシップの練習場であるスポーツ」 <モデレーター:Mr. Michael L. Fennell(IOC女性スポーツ委員会委員)>

*パネリスト① HRH Prince Feisal bin Al Hussein(ヨルダンオリンピック委員会会長) *パネリスト② H.E. Willi Bakonga (コンゴ共和国青少年スポーツ大臣) *パネリスト③ Ms. Gunilla Lindberg(IOC副会長) *パネリスト④ Mr. Othman Al Saad(アラブスポーツ連合事務局長) *パネリスト⑤ Ms. Brigitta Kervinen (ヨーロッパ非政府スポーツ連盟《ENGSO》会長、IWG 共同議長) *パネリスト⑥ Ms. Lubna Zoubi(UNIFEMアラブ地域ディレクター)

 男性3名女性3名と男女同数のスピーカー(計6名)によるパネルディスカッションであったが、実際にはそれぞれがどのようにして現在のリーダー的な立場に就いたか、また今後、女性がリーダー的な立場に就くにはどうすべきかなどのテーマで各自がスピーチを行った。また、会場からの質疑応答も行われたが、パネリストからは女性のリーダーに相応しい人物が選挙で選出されるように女性がサポートすべきだという意見が出された。また女性が高いレベルでのリーダーシップを執るポジションに就くには必ずその仕事をサポートする男性の存在が重要であることが確認された。 あまりインパクトのないスピーチが多かったのが残念であったが、パネリストの選択の時点で、スピーカーのクオリティよりも大陸、ジェンダー、政府、非政府、オリンピック委員会、国連組織などのバランスを重視したことによるものと思われる。

分科会E:維持、参加そしてスポーツの原動力 モデレーター:Dr. Gudrun Doll-Tepper

*スピーカー① Ms. Nada Zeidan (カタール・元アーチェリーチャンピオン、ラリードライバー) テーマ:「女性アスリートになる原動力」  イスラム教の風習そして伝統文化により、女性の社会的な進出が大変遅れていた中東のカタールで、2006年の地元ドーハでのアジア大会開催を契機とし、看護師という職業から、アーチェリー選手となりナショナルチャンピオンとして活躍した。現在では、ラリードライバーとして活躍する彼女の風貌とスピーチは大変関心深い内容であった。カタールでは何度も彼女に会っていたことと、彼女の活躍自体を既に知っていたのでこの場での驚きはなかった。しかし、中東における女性アスリートの尊重と承認を訴えた彼女のプロフェッショナルアスリートとして活動をする彼女の歴史的な意義は大変大きなものがあることを改めて実感した。             カタールのMs. Nada Zeidan

*スピーカー② Ms. Sophie Keil(オーストラリア・スポーツ・コミッション、女性スポーツユニットマネジャー) テーマ:「アスリートの維持:ベストプラクティス(最良の実践例)」  オーストラリアは20年間に渡り政府(オーストラリアスポーツコミッション)とオリンピック委員会が女性スポーツ推進に力を注いできたが、それでも様々な事情で10代半ばでスポーツから離れていく状況に歯止めがかからない。その原因はいくつもあるが、女性選手の低い報酬(あるいはフルタイムのプロ選手として働く機会の欠如)や、学校教育における体育時間数の減少(1970年の週4時間から現在の週40分に減少)などが述べられた。  このような現状の中で、オーストラリアはAustralian Institute of Sport (AIS)がトップアスリートのために寄宿舎(あるいは合宿制度)、プログラム、トレーニング奨学金、そしてアスリートキャリア教育プログラムを提供して、この選手生活あるいはその後のキャリア・パスのための支援を行っているという報告がなされた。

*スピーカー③ Ms. Charmaine Crooks(世界オリンピアンズ協会副会長) テーマ:「ボランティアとスポーツ・アンバサダー」  スピーチには大変定評があるカナダの元オリンピックメダリストとしての彼女のスピーチは、オリンピック選手たちがいかに様々な分野でボランティアとしての活躍が期待されているかを説明し、そしてオリンピック選手たちが社会に与える影響がいかに大きなものであるか、また、それぞれの国を代表して活躍することから、その国々にとっても国家を代表して他国へ派遣される最上位の外交使節の意味でのアンバサダー(大使)になるという話であった。  また、World Olympians Associationの副会長として、オリンピアンたちへこの組織へ加入して、一緒に力を合わせて頑張ろうというPRも行われた。

分科会F:少女と女性のためのスポーツと健康 モデレーター: Dr. Elizabeth Ferris

*スピーカー① Ms. Jumana Haj-Ahmad (ヨルダンのUNICEF思春期専門家) テーマ:「スポーツを通じてHIV/AIDS の世界的流行を述べる実践的なアプローチ」 世界的なエイズの感染状況(2007年12月)を見ると、HIV生存者の総数は3,320万人、そのうち成人3,080万人、女性1,540万人、15歳以下の子ども210万人であった。HIVの新たな感染者について見ると、総数250万人、そのうち成人210万人、15歳以下の子ども42万人であった。さらにAIDSによる死亡者の総数210万人、そのうち成人170万人、15歳以下の子ども29万人であった。成人と子どものHIV感染生存者数(2007年)をみると、総数3,320万人、そのうちサブ・サハラアフリカ地域の2,250万人が最も多く、次いで南・東南アジアの400万人、以下、ラテンアメリカおよび東欧・中央アジアの160万人、北アメリカの130万人と続く。このことから、HIV感染者は途上国において多いことがわかった。1日における新規感染者は、6800人以上(2007年)であり、感染者の96%以上が低・中所得国に住み、そのうち15歳以下の子どもの感染者は約1,200人、15歳以上の成人の感染者は約5,800人であった。また新規感染者の約50%が女性であり、約40%が15歳~24歳の若者という結果であった。感染経路は、約70%以上が性的関係によるものであった。 以上の結果から、HIV/AIDS感染者のほとんどは女性や少女であると推測される。女性や少女が感染する背景には、生物学的要因、社会的要因、経済的・政治的要因がある。社会的要因には、伝統的ジェンダー規範として少女は従順であれと教えられ、女性には夫にコンドーム使用を訴える権利や婚外交渉を拒否する権利がなく、男性の教育を優先するといった問題が含まれている。経済的・政治的要因には、経済的不安定によってコンドーム使用を主張できない性的奉仕を女性に強要する問題が含まれている。すなわち、 ジェンダー認識は、HIV/AIDS予防にとって効果的対策なのである。 HIV/AIDSを含む伝染病やその他の疾病について教育する手段に運動・スポーツを利用する取組みがなされている。例えば、健康や健康的な生活の促進・改善(喫煙予防、ドラッグなど)、からだを大切にする、リーダーシップ、自尊心、意思決定、仲間からの圧力への対応といったライフ・スキルを学ばせる、若者の積極的な自由時間の使い方やエネルギーの発散にスポーツを利用する、スポーツをすることで特別なメッセージが得られる環境づくり、若者に手が届く手軽で楽しいスポーツの提供、少女の地域参加の奨励などがある。

*スピーカー②: Prof Jorunn Sundgot-Borgen (ノルウェースポーツ大学教授) テーマ:「身体のニーズとスポーツの練習との正しいバランス(FATのリスクの排除)」

 女性アスリートの3つの兆候(Female Athlete Triad:FAT)として、摂食障害、運動性無月経、骨粗鬆症があげられる。一般的に運動を行なう長所として、リスクの軽減(心臓病、糖尿病、高血圧、結腸癌、老化)、健康の保持・増進(減量、健康な筋肉、骨、関節の維持)、高齢者の体力維持、心理的健康の促進が考えられる。しかしながら、エリート選手が過度にスポーツを行なうことにより、健康を害するといった短所が現れるのである。例えば摂食障害(拒食症、過食症を含む)はアスリートがかかりやすく、摂食障害による不適切なエネルギー補給は、パフォーマンスの低下、栄養不足(炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの不足の誘導)、怪我や疾病率の増加につながる。摂食障害の有病率は、1989年~1990年にかけて美を競う種目、階級種目、持久種目の順に高かった。1992年~2003年にかけては、1989年~1990年と同様に、美を競う種目、階級種目、持久種目の順に高い傾向を示した。しかしながら、持久種目、球技種目、技術種目の有病率が上昇している点が相違点として挙げられる。

こうした摂食障害はどのように引き起こされるのか。それは減量と食事制限、怪我、オーバートレーニング、無理解な発言、コーチの行動、パフォーマンスの低下、モチベーションの欠如が要因として考えられる。また女性特有のユニフォーム(例えば、ビーチバレー)のあり方も関係しているかもしれない。それでは健康の専門家はどのような予防を提唱すべきなのか。まず健康と幸福の提唱を行ない、体重の軽量偏重主義をやめ、通常体重が健全であることを示すロールモデルを使うことである。さらに摂食障害の予防を成功させるには、選手やコーチを専門家として扱い、トレーニング、栄養、からだに対する健康知識を学習させる必要があると述べた。

*スピーカー③ Ms Nicole Hoevertsz(IOC 委員、アルーバオリンピック委員会専務理事) テーマ:「アルーバの経験:スポーツにおけるセクシャルハラスメントと暴力のケーススタディ」 セクシャルハラスメントの定義は世界的に共通認識が十分ではない。IOCは「性的言動、非言語あるいは身体的行動を含む個人あるいは集団に対する態度である」としている。またKari Fastingは「セクシャルハラスメントを文化や環境によって様々であるが、個人が他者に対して権力を持つことによってしばしば起こりうる」と述べている。 セクシャルハラスメントの具体例を示すと、「性的な発言やジョークを要求したり、けなしたりする」「いやらしい目つき、口笛を吹く、体をじろじろ見たりするといった非言語的行動」「服装や体型、プライベートについて不必要に性的な指摘をする」「不必要に性的な写真を見せる」「不必要に性的な動きをしたり、性的行動を導いたりする」「不必要に触れる」「性的行為を強要する」等があげられる。またセクシャルハラスメントが引き起こす深刻な事態として、組織あるいはスポーツへのダメージ、精神的損害、心理的ダメージ、社会的屈辱、自尊心の低下、コーチを傷つけることへの恐れ、スポーツを断念するといったことが分かっている。 セクシャルハラスメントは、すべてのスポーツのあらゆるレベルで起こり得るもので、そのほとんどのケースが報告されないままである。それを解決するためには、各国オリンピック委員会の働きかけ(プロジェクトの準備)、専門組織への委嘱、公私レベルにおける専門的アプローチ、メディアとの連携、女性とスポーツプログラム、財政的・技術的支援等が必要になるであろう。さらにスポーツの場面におけるセクシャルハラスメント宣言、コーチの民族的背景、セクシャルハラスメントを訴える独立組織、報道による公表等も重要な要素となる。 セクシャルハラスメントに対する認識を広めるためには、(1)スポーツ組織が率先して権利についての発言を行い人々への普及を図る、(2)セクシャルハラスメントを積極的に認知させる(消極的な対応では関心をもたれない)、(3)目的を明確にする、(4)プロジェクト・ガイドを用いる、(5)専門家を交えて作業をする等があげられる。 以上のことが達成された場合、次の段階として、選手とコーチに対するフォローアップ講義の実施、国レベルのセクシャルハラスメントキャンペーン、コーチ養成カリキュラムにセクシャルハラスメントを入れる、若い選手に対する講義の実施、法的にセクシャルハラスメントを罪として位置づけることが求められるであろうと述べられた。

分科会G:スポーツにおける文化や他のバリアを克服する

*スピーカー① HRH Princess Rahma bint Al Hassan(ヨルダン体操連盟会長)  テーマ:「ヨルダンの経験」  ヨルダンではパラリンピック大会の卓球で活躍した女性選手をはじめ、パン・アラブ大会、アジア大会で活躍する女性選手が次々と出てきている。 ヨルダン体操連盟は1980年に創設され、1996年に2名の女性理事を誕生させ、翌年には女性の国際審判を輩出。2007年には3名の女性が理事となった。 ヨルダンの問題点は文化、資金、交通手段であるが、家族や学校との話し合い、メディアのサポート、特にヨルダンオリンピック委員会そして国王の支援によってこれらを克服しているとの報告であった。しかしながら、まだ財政的な不足から施設やクラブの不足もあり、益々の発展が必要であるとのことであった。

*スピーカー② Ms. Faezeh Hashemi (イスラム女性スポーツ連盟会長) テーマ:「女性だけの大会?その答え」  イランの元大統領の娘でもあるイスラム女性スポーツ連盟会長が初めて英語でのスピーチを行った(従来はどの講演でも母国語でスピーチで、彼女が同伴した英語の通訳を通してパブリックスピーチを行うというスタイルであった)。イギリスに留学し勉強中の彼女自身の変化を見ることができた。  女性がスポーツに参加するバリアと制限について、どのような制限やバリアが存在するのか、そしてそれを克服するために具体的にどうすべきかの提言を3つの分野に分けて、一つずつ説明した。発言は全てムスリム(イスラム教)の女性が置かれている立場からの提言であった。  最初に、実際のバリアとして(1)スポーツを行う時間の不足に対して、母と子どもの教室を設けること、託児室の設置を挙げた。(2)お金の不足については、女性スポーツへの補助金(助成金)の支給、最初のセッションの無料化、仕事場に併設したスポーツ施設の無料開放などをあげた。この他にも(3)パーソナルセーフティ、(4)資金についても意見を述べた。  次に、個人的なバリアについて、(1)ボディー・イメージについては、スポーツをする服装が大変重要で、服を着替えるプライバシーを守ること、水泳は水着の上からTシャツを着れることなども提言された。(2)スポーツの服装については、スポーツを行う女性に対して他の者(コーチ、役員、スポーツ組織)が服装の制限をすべきではないと述べた。(3)自尊心の欠如に関しては、男女を平等に扱うスポーツの機会を増やすことが大事だと述べた。  最後は、社会文化的なバリアについて話をし、(1)意思決定や計画のプロセスに女性が参加すべきであること、(2)規則や法律を変えること、(3)メディアが女性スポーツをもっと多く取り扱うことと、女性ジャーナリストを増やすことが必要であると述べた。  イスラム女性スポーツ大会を16年間(過去5回)主催し、イスラムの女性のスポーツの発展に大変貢献し続けているMs. Hashemiであるが、女性だけのスポーツ大会の開催と、2004年アテネ五輪に女性選手がイスラムの服装で参加した歴史を刻むことができたことは、今後のスポーツにおけるダイバーシティの考え方の普及にとって大変重要な事実だと締めくくった。

*スピーカー③ Ms.Clea Papaellina(キプロスオリンピック委員会理事) テーマ:「女性のスポーツへのアクセスは文化が問題なのだろうか?」  女性のオリンピック大会への参加の歴史的な状況を詳細なデータで示し、女性のスポーツの発展の妨げになっていた男女差別、生理学的、社会心理学的な間違った考えを説明した。そして、1994年に制定された「ブライトン宣言」にIOCが1995年に署名し、IOC内に女性スポーツワーキンググループを設立し、次々と女性スポーツの改革を行ってきたことを紹介した。そして、今後の女性のスポーツへの参加を増やすには、教育が重要であり、体育の時間の増加、オリンピック教育を通常の学校カリキュラムに盛り込むことなどを提言した。

分科会H:スポーツを通して今日の青少年に到達する モデレーター: Ms. Charmaine Crooks

*スピーカー① Ms. Aimee Mullins (WSF: 米国女性スポーツ財団会長) テーマ:「教育の道具としてのスポーツを支援する母の役割」  WSFの次の目標は、青少年や家族の研究であり、特にアメリカではこどものスポーツ参与が注目されている。いかに家族の満足度を高いレベルまで引き上げるか問題になっており、青少年のスポーツは、コミュニケーション構築や親と子どもの信頼関係に役立ち、親子が一緒の時間を過ごすのにも役立っていることが分かっている。また、世界初の女性スポーツ博物館の設立や公的教育を行ない、少女と女性のスポーツ参加の権利を保護し、拡大するための法制定を提唱している。さらに少女や女性のスポーツに熱心に取組んでいる者は誰でも支援している。初期プログラムとして、現在アメリカで「Go Girl Go!」と銘打った活動を少女達に実施し、身体的・精神的健康の危機へ警鐘を鳴らしている。 国家レベルの教育や気づきは、活動的なライフスタイルを生きる少女や女性の実現を可能にし、運動やスポーツに参加する重要性を少女や女性達に教育することができる。スポーツや運動を用いる最大の目的は教育的介入であり、児童期と初期青年期の間を繋ぎ、彼女達の身体的・精神的健康を維持するのに有用である。多くの組織や政府が少女と女性の生活においてスポーツが重要であることを認識し始めている。そうした世界的な活動は、国連の女性の(地位)向上を記した「Women 2000 and Beyond」にも書かれている。

*スピーカー② Ms Mette Bugge(ノルウェーのAftenpostenのジャーナリスト) テーマ:「メディアはどのようにして少女たちを引きつけるか?」 メディアは女性ジャーナリストをどうしたら増やせるのか、メディアは有能な女性をどうしたら増やせるのか、女性アスリートをどうしたら頻繁に見られるのか、メディアは少女達に新聞やテレビでどうしたらスポーツに興味を持たせられるのか。現在のノルウェースポーツ連盟は、12,500クラブ、会員数が1,200万人、女性の会長で運営している。 ノルウェーの国民は、テレビで何が見たいか質問したところ、以下の結果となった。 <女性>1位:陸上、2位:体操、3位:水泳、4位:ハンドボール、5位:アイスホッケー <男性>1位:陸上、2位:アイスホッケー、3位:サッカー、4位:モータースポーツ、 5位:ハンドボール、<全体> 1位:サッカー、2位:アイスホッケー、3位:陸上 サッカー選手における女性の割合は、選手総数380,000人のうち女性選手は108,000人(1/4)であった。ノルウェー・スポーツ・ジャーナリスト連盟によれば、会員総数450人のうち女性は48名であった。結論として、もし女性ジャーナリストを増やしたいのならば、有能な女性を見つける必要があり、メディアは女性のスポーツについて頻繁にニュースにすべきである。また、新聞において女性がスポーツに関心を持つよう導く必要があり、これは、いかにメディアが少女達に関心を持たせられるかという問題である。 全体会(4) 午後16:30-17:30 全ての分科会のサマリーがIOC女性スポーツ委員会の代表者によって口頭で述べられた。 (まとめは文書では配布されずに、スピーカーの原稿やパワーポイントのファイルがCD-ROMとして参加者に配布された。)

閉会式 午後17:30-18:00  IOC女性スポーツ委員会委員長であるMs. Anita DeFrantzより閉会の挨拶の後、IOCの事務局担当であるMr. Tomas Amos Ganda SITHOLEから決議文に含まれるポイントだけが述べられた。参加者はその時点では決議文自体を全く見せられてはいなかったことと、質疑応答の時間が設けられなかったこともあり、結果的には最終結論を知らずに閉会を迎えた。閉会直後に、参加者全員に決議文の書かれた文書が配布されるという形であった。  決議文は別紙の通りであるが、これまでとは異なり、決議だけではなく、アクションプラン(行動計画)をつけ、具体的な内容を加えたことが評価される。特に2010年のユース・オリンピック大会から男女平等の精神であらゆることをスタートするとした点は特に新しい発想であり、実際に実現しそうな期待を抱かせる内容であった。

<IOC女性スポーツ委員会>  この会議開催の1週間前に新たなIOC女性スポーツ委員会メンバーが決定した。特に、IOC副会長で、JOA会長である猪谷千春氏が新に委員に就任したことは日本の女性スポーツの今後の展開を考えると大変喜ばしいニュースだといえる。また、これまでアジア女性スポーツの発展に尽力し、国際ソフトボール連盟の副会長として活躍中のMs. Ben Chu Low(マレーシアオリンピック委員会副会長)の就任も大変心強い。さらには国際スポーツ科学体育評議会会長のProfessor Gudrun DOLL-TEPPER(ドイツオリンピック委員会副会長)の就任も今後のIOC女性スポーツ委員会の発展を考えるととても期待が持てる構成となったと考えられる。 以下が新しいIOC女性スポーツ委員会メンバーである。 IOC女性スポーツ委員長は、Ms. Anita DeFrantz HRH Prince Faisal bin AL-HUSSEIN Ms Béatrice ALLEN Ms Lee Kyung CHUN Mr Iván DIBÓS Professor Gudrun DOLL-TEPPER Mr Michael S. FENNELL Dr Elizabeth A.E. FERRIS Mr Reynaldo GONZÁLEZ LÓPEZ Mr Issa HAYATOU Ms Nicole HOEVERTSZ Mr Chiharu IGAYA (猪谷 千春) HSH Princess Nora de LIECHTENSTEIN Ms Beng Choo LOW Ms Shengrong LU Ms Nawal El MOUTAWAKEL Ms Marit MYRMAEL Intendant General Lassana PALENFO Ms Tine RINDUM-TEILMANN General Mounir SABET Mr Melitón SÁNCHEZ RIVAS Raja Randhir SINGH Ms Rita SUBOWO Ms Donna de VARONA Ms Yang YANG 事務局担当 Mr Tomas Amos Ganda SITHOLE

第4回IOC世界女性スポーツ会議 死海行動計画(参考和訳)

1. あらゆる機会を生かして男女平等を促進

	第4回IOC世界女性スポーツ会議では、オリンピック・ムーブメントでのあらゆる機会を利用し、スポーツにおける、またスポーツを通して女性の地位を向上させる必要性を指摘。これを受け、ジャック・ロゲIOC会長およびアニタ・デフランツ女性スポーツ委員会委員長の開会の辞などで以下の三つの機会が特に取り上げられた。

i. 北京オリンピック競技大会

	本会議では、各国の国内オリンピック委員会(NOC)および各国際競技連盟(IF)に対してそれぞれのチーム、チームの指導部およびテクニカル・スタッフのメンバー構成にIOCの男女平等の方針が確実に反映されるようIOCから呼びかける必要性を強調した。

ii. 4年に一度のNOC選挙

	今後数ヶ月間、多くのNOCでは指導部の選挙が行われる。指導部のポジションにさらに多くの女性を起用することの重要性は、いかに強調しても強調しすぎるということはない。本会議では、組織内により多くの女性を起用するよう求めるIOCの要請を遵守してきたNOC、IF、大陸別連合およびオリンピック組織委員会の努力に対して謝意が表明された。
	行動計画

a) IOC女性スポーツ委員会の委員長に対し、すべてのNOCの理事会に女性を起用することの義務付けを2008年8月に北京で開催される第120回IOCセッションで提案するよう要請があった。 b) IOC女性スポーツ委員会は、IFおよび大陸別連合に政策を決定する最高指導部に女性を含めることの必要性および意義を指摘するようIOC会長に要請する予定である。

iii. 2009年IOC総会

	デンマークのコペンハーゲンで開催されるIOC総会は、オリンピック・ムーブメントにおいて重要な節目となる。この総会では、すべての局面におけるオリンピック・ムーブメントの将来の方向性を決定づけるものである。本会議では、総会で取り上げられる5つの議題を通してジェンダー問題が主題として取り上げられる必要性を示した。
		行動計画

a) IOC女性スポーツ委員会は、IOCがそのウェブサイトで立ち上げていくバーチャル総会に多くの女性が登録し、参加するよう積極的に促していく。 b) IOC女性スポーツ委員会は、上記登録者から少なくとも10名を特定して招待し、総会でテーマとなる女性と少女に関する詳細かつ権威ある文書に寄稿してもらう。

iv. ユース・オリンピック競技大会

	ユース・オリンピック競技大会(YOG)は、近年のオリンピック・ムーブメントに多大な付加価値を与えることになる。本会議では、IOCに対してプロジェクトそのものはもちろんのこと、さらに重要な点としてIOCがYOGを単なるスポーツ・イベント以上のものにしようという意図に対して感謝し、その功績を称えた。YOGで中心となるのは教育と文化的要素、および若年層に対する指導の部分である。また、IOC会長およびIOC委員に対してYOGのすべての局面においてジェンダーのバランスを考慮するよう要請していく。
	行動計画

a) IOC女性スポーツ委員会は、IOCに対してYOGに参加する選手団、テクニカル・スタッフ、事務局員および指導部全般でジェンダーのバランスを考慮する必要性を訴え、それを実行するよう促す。 b) 本会議では、IOCが重点を置く若いアスリート(特に若い女性)の健康および福利の重要性に言及した。 c) 本会議では、IOCの「エリート児童アスリートのトレーニング」「FAT(Female Athlete Triad(女性アスリートの3つの兆候)」、「スポーツにおける性的嫌がらせおよび性的虐待」などに関する同意声明書、およびこれら声明書とYOGプロジェクトとの関連性を確認し、IOCに対しこれらの声明書をYOGの観点から広く公表、配布する必要性を指摘した。

2. ガバナンス

	本会議では、戦略を策定しそれを促進するためにはよく研究されたデータが必要であることを訴えた。また、主要業績評価指標(KPI)を設定し、進捗状況を監視するメカニズムを構築する重要性も強調された。このプロセスには男性の積極的な参加および支援が必要不可欠となる。

行動計画 a) リサーチ:IOCは過去に関係機関と協力し、オリンピック・ムーブメントへの女性の参加に関して信頼性のあるデータを構築してきた。この情報は男女平等の政策展開において非常に貴重な役割を果たしてきている。同会議では、緊急事項としてこのデータをアップデートして範囲を広げるよう要請。さらにオリンピック・ムーブメントを通して、またオリンピック・ムーブメントにまつわるすべての利害関係者の間でこの情報が共有されるよう呼びかけた。 b) IOC女性スポーツ委員会は、オリンピック・ムーブメントの指針となり、また設定目標の進捗状態を図る際に必要となるKPIを設定するようIOCに対して要請すべきである。 c) ネットワーク構築:「オリンピック・ムーブメントに関わる女性」のネットワークを構築することにより、最良実施例(ベストプラクティス)についてアイデアを出し合ったり互いに助け合ったりすることができる。本会議では、IOCウェブサイト上に現存する女性とスポーツのプラットホーム(土台)を資源として、今後のネットワーク構築の出発点とすることを推奨した。IOC女性スポーツ委員会は、この案件をIOC会長にもちかけ、適宜報告すべきである。 d) 本会議では、意思決定権をもつ男性や多様な経歴の男性陣もまた女性とスポーツのフォーラムや会議に出席するべきであると言及した。同様に、政策決定フォーラムに参加する派遣団も男女の数を均等にするべきであると勧告する。

3. 教育開発を通したエンパワーメント

	本会議では、女性がスポーツにアクセスでき、また参加できる環境の重要性を確認した。それにより女性の自尊心を高め、女性が影響力をもつことができる。このような過程にスポーツ・マネージメントで要職を務めた女性や元アスリートがロールモデルとして参画することの意義も強調された。

行動計画 a) 本会議では、大陸別あるいはサブリージョナルで開催される女性とスポーツのフォーラムにおける政策討論会議から指導者研修セッションに至るまでの目的および内容の見直しを図る必要性を確認した。 b) IOC女性スポーツ委員会は、IOC会長に対しオリンピック・ソリダリティー委員会の委員長と協調し、今後の4ヶ年計画およびその予算においてかかる研修に特別予算を拠出するよう要請する予定である。

4. 女性、スポーツそしてメディア

	本会議の参加者から、メディアによる女性スポーツの取り上げ方には格差があり、またその取り扱い方に懸念しているとの声あった。格差は女性のスポーツ活動の報道方法と女性のスポーツ・ジャーナリストの雇用の両面で見られるという。また、多くの国において、スポーツ・ジャーナリズムはジャーナリズムのその他の分野と比べると同じ重要性をもって認識されていないとの指摘があった。

行動計画 a) IOCは、女性のスポーツ・ジャーナリストがオリンピック競技大会および関連行事の報道に積極的に参加するよう奨励すべきである。 b) IOCの関係委員会およびオリンピック・ソリダリティーは、スポーツ界の女性に対しメディアの対処法の研修を強化すべきである。

5. 女性、スポーツそしてミレニアム開発目標

上記に加え、本会議では「基本原則」およびオリンピズムにおける目標を確認した。その結果として、直接間接問わずすべてにおいて女性や少女と関連のあるミレニアム開発目標の達成でオリンピック・ムーブメントが担う役割を再び強調した。この点に関連して、本会議ではIOCが国連の14の専門機関との覚書に署名しており、国連とも協力関係を築いていることを確認した。

6. 会議参加者の確約

	第4回IOC世界女性スポーツ会議の参加者は、死海行動計画の達成に全力を注ぐとともに、将来的な活動および会議のためにフィードバックを提供することを確約した。

2008年3月10日 ヨルダン・ハシミテ王国 死海


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最終更新: 2009-02-26 (木) 12:28:55 (JST) (2954d) by jwsadmin
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