Library
アメリカ女性プロスポーツの現状

女性のスポーツ参加が普及するに従って、参加するためだけのスポー ツから、スポーツを 実施する側に関わる女性も徐々に現れ、さらにス ポーツを職業とする女性も現れてきました。

女子のプロスポーツは、チームスポーツよりも個人種目の方が長い歴 史をもっています。 たとえば、女子プロゴルフ。1950年に女子プロゴル フ協会が結成され、1970年代には 国際的な組織となり、その規模を 拡大していきました。1997年のLPGAのツアー賞金総額は 302万ドル (約3.5億円)と、興行的にも成功を収めています。ほかに、女子プロボ ーリングは 1959年に女子プロボーリング協会が設立され、1981年に 女性プロボーラーツアーを始め、 女子ビリヤードでは1976年にプロ選 手の組織が設立されています。

このように、女子の個人スポーツでは早くから女子のプロ選手が誕生 しましたが、 チームスポーツにおいては、その男性的イメージが強い ために女性の参加自体が遅れ、 プロフェッショナルな組織が結成され たのもごく最近のことなのです。

その女子チームスポーツについて見てみましょう。


女子野球

第二次世界大戦中、多くの男子選手が兵士として戦争に駆り出され てしまった メジャーリーグに代わって、アメリカ女子プロ野球リーグは、 1943年に始まり、 戦争で疲れていた人々の少ない娯楽の一つとな り、盛り上がりをみせました。1948年には, 100万人近い観客動員を 記録したほどです。しかし、戦争から選手達が帰還すると、 女子プロ 野球選手ももとの家庭での役割を求められるようになりました。次第に 観客動員数も減り、リーグも採算がとれなくなると負債が毎年増大す るばかりとなって、 1954年にはリーグを終了しなくてはなりませんでし た。

それから40年後の1994年、アトランタの事業家がクアーズ・ビール社 と300万ドルの スポンサーシップ契約を結び、女子のプロ野球チーム コロラド・シルバー・ビュレッツを 結成しました。アメリカ全国約1,300人 の女性野球選手から選出された20数名の シルバー・ビュレッツのメン バーは、男子のセミプロチームや地域のチームと試合を重ねました。 そして、1997年、念願のレディース・ベースボールリーグが4チームで スタートし、 シルバービューレッツもこのリーグのチームとも戦ったので す。

このレディース・ベースボールリーグは、1998年には女子プロ野球 (The Ladies Pro Baseball) と名前を改め、2チームを加えて6チーム となりましたが、スポンサーの経済的事情で 1カ月でその活動を休止 しています。シルバー・ビュレッツもスポンサー会社クアーズの 援助打 ち切りにより、1998年を最後に活動を停止しました。


女子バレーボール
女子プロバレーボール協会(The Women's Professional Volleyball Association)は、 1986年に設立され、6人制インドアとビーチバレー のプロリーグを開催していました。 1997年には4チームでバドライト・プ ロビーチバレーボールリーグが行われました。 女子選手の最高年棒 は5万5000ドル(約600万)。しかし、女子プロバレーボール協会も ま た1998年4月に解散になっています.

女子バスケットボール

メリカの最初の女子プロバスケットボールリーグは、8チームで構成さ れ1976年に 始まりました。当時、1試合平均観客動員数は1200人を 数え、選手の平均給与は6,000から 1万ドル(68万〜113万円)で、テ レビ放映もされ、盛り上がりを見せていましたが、 チームの経営不振 や観客減少で、翌年にはリーグを断念しなければなりませんでした。 その後も、1980年と1984年に女子プロリーグが始まりましたが、長続 きはしませんでした。

しかし、1997年1月にスタートしたWNBA(東部カンファレンス及び西部 カンファレンス 各6チーム計12チームで構成)は、順調な滑り出しで、1 年間で100万人を観客動員し、 テレビ観戦においては6500万人ともい われ、社会の関心を集めています。 (フェニックス・マーキュリーでは、 ジャパンエナジーの萩原美樹子選手が活躍しています)

他にもイタリア、ドイツ、スペイン、ブラジルなど女子バスケットのプロリ ーグを持つ国は多く、 各国でアメリカの女子選手が多く活躍していま す。WNBAのオフシーズンに諸外国に行って プレイをしている選手もい るのです。


女子ソフトボールと女子サッカー

最初の女子プロソフトボールリーグは、1976年に設立されましたが、 経済的理由、 およびマーケティング不足などによって、4年でその幕を 閉じました。しかし、1994年になり、 女子プロソフトボール連盟(The Women's Professional Fastpitch)は、プロリーグ再編の 準備を開始 し、1997年には6チームでリーグをスタートさせて数試合がテレビ放映 されました。 チームを二つに分けて、年間66試合を行ない、その両リ ーグの勝者がプレイオフを行う という方式をとっています。1999年には 1チームが増え、5年間で18チームのリーグに することを目標にしてい ます。

そのほかに,女子サッカーもプロリーグを作るという動きが数年前から ありますが、 資金不足のため延び延びになっています。1999年にアメ リカで開かれる女子ワールドカップ 以降に開催する予定となってはい ますが、現段階では具体的な見通しはたっていないのが現状です。


今後の女子プロスポーツの展望

女子プロスポーツで興行的成功を収めて社会に定着してきているの は、ゴルフ及び テニスという個人スポーツです。チームスポーツのプロ リーグは、WNBAをなどがようやく 近年再開され注目を浴びてきていま す。この背景には、女子のスポーツがより広範囲に社会に 受け入れら れるようになったという事実があります。体制は整ったのですから、あ とは内容の 真価が問われるばかりです。

過去の失敗を生かして、観客を魅了するパフォーマンスおよび運営をし ていけば、より多くのスポーツで 女子のプロフェッショナルが成功し、 女子スポーツ全体がより社会に浸透していくことでしょう。