“2006世界女性スポーツ会議くまもと”プレイベント
女性スポーツサミット2005 報告

〜スポーツを通じたライフサイクル〜

2005年1月23日(日)、“2006世界女性スポーツ会議くまもと”のプレイベントとして、「女性スポーツサミット2005」(NPO法人ジュース主催)を開催した。昨年の「女性スポーツサミット2004」に引き続き、“サミット”としては2回目の開催となった。
昨年は、全体会に加え、3つのワークショップを同時開講するというプログラムだったが、今年は、2部構成のパネルディスカッションをメインに、「女性スポーツネットワークプロジェクトの活動報告」と「“2006世界女性スポーツ会議くまもと”応援する会発足の報告」を行うという構成であった。

※開催概要はこちら

開会のごあいさつ:石田良恵JWS副理事長 小粥義郎JOC副会長 閉会のごあいさつ:小笠原悦子JWS理事長

<スケジュール>
12:30 開会
12:40 パネルディスカッション  第1部 “スポーツ好きな少女”を育てる
14:15 女性スポーツネットワークプロジェクトの活動報告
14:30 休憩
14:45 パネルディスカッション  第2部 少女から女性へ〜身体の変化とスポーツ〜
16:15 「2006世界女性スポーツ会議くまもと」応援する会発足の報告
16:30 閉会

 

パネルディスカッション第1部

“スポーツ好きな少女”を育てる

コーディネーター:根本美代子(ジュース正会員)
コメンテーター:小笠原悦子(ジュース理事長)


川淵 三郎 氏

 パネリストとして川淵三郎氏((財)日本サッカー協会キャプテン)、清元登子氏((社)日本女子プロゴルフ協会副会長)、井村雅代氏(シンクロナイズドスイミングコーチ)を迎え、「“スポーツ好きな少女”を育てる」というテーマのもと、ディスカッションを行った。

 まず最初に、コメンテーターの小笠原悦子(NPO法人ジュース理事長)からテーマの設定理由が説明された。今年は国連が定める「スポーツと体育の国際年」であるということ、そして、来年開催される「2006世界女性スポーツ会議くまもと」のワークショップの1つとして、このパネルディスカッションと同様のテーマが掲げられていること、という説明がなされ、その後、それぞれのパネリストの具体的な取り組みや女性スポーツの振興に対する考えなどを話題にしながらディスカッションが行われた。

 川淵氏は中学生女子のサッカー競技人口が少ないことについて、「女子サッカー界のみならず、日本サッカーの発展においても大問題である」とした。「女子サッカーの発展なくして、日本サッカーの発展なし」という理念のもとに、日本サッカー協会が取り組む様々な女子サッカー活性化のための活動として、新規チームに対する資金援助や、指導者養成システムの確立、新たな人材発掘などの取り組みが紹介された。ジュニアの時代は、女の子だからという特別枠で育てるのではなく、男女平等に扱うように指示しているとし、将来の展望として、2030年までに女子ワールドカップでの優勝と同大会の日本開催を掲げた。
また、スポーツ界で女性の指導者が台頭してこない原因の1つに、競技団体の体質の問題があることが言及された。
単なるサッカーだけのエリートではなく、社会の中で立派な社会人として(人間として)成功できるようなエリートの育成をめざすという理念を示した。

 清元氏は選手を親元から離し、自分と同じ屋根の下で生活させ、日常生活まですべての面倒をみるという独特の指導法を紹介した。選手を親元から離す理由は2つあり、1つは選手自身の自立を促すこと、もう1つは親から子への過剰な期待から解放するためであるという。また、ジュニア世代への普及については、ジュニア用に考案したテニスボール大のボールを使った指導法や、本物のゴルフプレーヤにするためにどのように移行させていけばよいのか、また、ジュニアを指導するコーチの質の向上が課題であると述べた。

 井村氏は指導者の役割について、「選手が指導者にやらされている」関係を作るのではなく、「あくまで指導者は選手の協力者である」ことが大切であると強調した。また、有望な選手をつぶさないためにも、親の役割として「親は練習その他に関して一切口出しをせず、おいしいものを食べさせることである」と語った。
3人のパネリストの共通した意見としては、「親の関与」について、プロや一流の選手になれるのは万に一つの確率なので子供に過剰期待をしすぎないこと、試合や練習そしてテクニックなどに関する指導は指導者に任せてほしいということが述べられた。

 それぞれのパネリストの具体的な取り組みの紹介から、「スポーツ好きな少女を育てる」ためには、スポーツを楽しめるような場の設定・工夫が必要であり、さらには自然発生的には育たない女性指導者の育成や、親への教育も重要であるということを再認識するディスカッションとなった。


それぞれの具体的な取り組みや考えなどを
話題にしながらディスカッションが行われた。

清元 登子 氏

時には和やかなムードでディスカッションが進み、参加者からは「親しみを感じた」との声も聞かれました。

井村 雅代 氏

コーディネーターの根本美代子氏
コメンテーターの小笠原悦子理事長
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パワーポイントを使い、わかりやすくまとめ発表をしました。
発表者の柳川尚子氏、間野義之理事

「女性スポーツネットワークプロジェクト」活動の報告

報告者:柳川尚子(ジュース正会員)、間野義之(ジュース理事)

NPO法人ジュースが中心となって調査を実施した「女性スポーツに関する現状や課題」について報告を行なった。
 まず、女性のスポーツ実施率が男性のそれと比べて10パーセントも低いことが示され、女性がのびのびとスポーツを行えるようなスポーツ政策を考える必要があると訴えた。具体的な提案として、スポーツ施設、イベントでの託児機能の充実や女性アスリートがトレーニングしやすい環境にするために、競技団体の意思決定に携わる女性役員数を増やす必要があると述べた。また、個人の努力では解決できないこともあるので、多様なネットワークや総合型地域スポーツクラブなどを積極的に活用し、「2006世界女性スポーツ会議くまもと」を期に、ムーブメントを起こしていくことが期待されると呼びかけた。

パネルディスカッション第2部

少女から女性へ〜身体の変化とスポーツ〜

コーディネーター:本間香代(ジュース正会員)
コメンテーター:石田良恵(ジュース副理事長)

 

江夏 亜希子 氏

 パネリストに江夏亜希子氏(汐留第2セントラルクリニック院長・産婦人科医)、ヨーコ・ゼッターランド氏(スポーツキャスター)、萩原美樹子氏(バスケットボール女子日本代表チームアシスタントコーチ)をお迎えし、女性の身体の変化についてディスカッションを行った。

 まず、江夏氏は、女性が月経周期を有することについて、「女性の特性をマイナスと考えず、いかにそれを自身のスポーツライフにいかしていくかを考えることが重要である」と提言した。そして、スポーツ現場での月経に対する理解の現状について、男性指導者の月経に対する理解の低さを指摘し、月経によって女性の身体内で起こる変化について、図を交えながらわかりやすく解説した。月経異常の放置が、骨粗鬆症や子宮体癌の発生リスクを上昇させるなどといった女性の「生(命)」に関わる問題が生じるという認識が必要だということも述べた。また、女性スポーツ選手特有の問題としてFAT(Female Athlete’s Triad:摂食障害、月経異常、骨粗鬆症といった女性アスリートの3つの特徴)について触れ、過度のトレーニングへの警鐘を鳴らし、将来を見据えた指導が大切であるとした。

 スポーツ活動に影響を及ぼす月経異常については、過多月経や月経困難症・月経前緊張症を挙げ、そうした体調の変化をコンディショニングに活かす方法として、基礎体温の活用を勧め、月経痛がひどい場合は鎮痛剤の投与やピルによる月経周期のコントロールを積極的に行っていくよう示唆した。

 そして、思春期の選手たちに必要な配慮として、「結果を出すのは今しかない」といった無理な追い込みや指導は避け、指導者と選手がよく相談した上で、長期的なビジョンを立て、息の長い「かしこい」選手を育てることが重要であるとした。

 ゼッターランド氏は、アメリカでの選手生活の経験から、選手とコーチ、医師の三者が連携を図ることが重要であるとし、その三者の関係をよりよいものとするための、アスレティックトレーナーの育成が必要であると指摘した。

 萩原氏は現役時代、コーチが調子の悪い選手をみて、「生理中ではないか」と疑う場面に幾度か遭遇し、男性コーチの認識の低さを感じたという。また、周りの選手はほとんどが無月経だったとし、今でもその状況は変わらないとした。また、アテネオリンピックでの日本選手団の公式ウエアが白だったことに言及し、女性にやさしいスポーツ界を構築することが必要であると指摘した。


ヨーコ・ゼッターランド 氏

江夏亜希子氏がパワーポイントを使用して「女性の特性」について大変わかりやすく説明してくださいました。

萩原 美樹子 氏

江夏氏とコメンテーターの石田良恵JWS副理事長

選手生活の様々な経験を語ってくださいました。
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幸山政史熊本市長
発起人代表世話人の清元登子氏
林利博(財)日本水泳連盟会長

「2006世界女性スポーツ会議くまもと」応援する会発足の報告

 2006年5月11日〜14日開催予定の「2006世界女性スポーツ会議くまもと」を成功させるために、「応援する会」が発足されたことを報告した。
 同会議の実行委員長である幸山政史熊本市長は、「多くの方に熊本に足を運んでいただき、会議を成功させたい」と熱い思いを語った。
さらに、熊本出身である発起人代表世話人の清元登子氏が「日本の中で、東京と熊本の女性スポーツに対する温度差をなくすのが我々の役目である」と積極的な意思を示した。
 また、応援する会の会員を代表し、(財)日本水泳連盟林利博会長は、21世紀に入ってからの競泳日本代表チームの男女比は、女性の方が多いことを指摘し「来年の会議がスポーツを通しての人づくりに大きな成果を上げることを期待している」とした。

 会場の「女性と仕事の未来館」ホールには、一般の参加者(スポーツ指導者・愛好者、学生)のほかに、スポーツ団体の代表者、企業・報道関係者など223名にお集まりいただいた。参加者からは、「刺激を受けた、楽しかった、勉強になった」といった感想を頂戴し、盛況のうちに終了した。

より詳細な内容報告は春頃掲載する予定です。もうしばらくお待ちください。

(株)フォートキシモトのご協力により、会場にはアテネ五輪で輝いた女性アスリートの写真が飾られました。
JWSスポンサーのナイキの映像も流れました
受付などには世界女性スポーツ会議のポスターを貼っていました。
たくさんの方にご来場頂いた会場内
パネルディスカッション終了後に取材に応じる川淵氏